132~133日目:香住の山を越え豊岡へ

香住の森 歩記

日本縦断132~133日目(2016年10月14~15日)

貴重な体験

昨晩は森の中で助けてもらったYさん宅に泊めて頂いた。

昨晩はお風呂や洗濯機まで使わせて頂いたのに、なんと今朝は起きると既に手作り料理が用意されていた。出会って間もないのにここまでして頂けるなんて。本当に感謝しかない。

朝食

今朝は久々に家庭料理を食べることができて嬉しい。バランスも良いし、味もコンビニや飲食店と違って優しい味付けで美味しかった。

その後は少し出発を遅らせて、Yさんと交流した。Yさんからは芸術から地元の話しまで興味深い話をたくさん聞かせて頂いた。昨日の出会いから今日まであっという間だったが、とても貴重な時間となった。

最後には差し入れやお土産まで頂いてしまった。もう何から何までして頂いて感謝しっぱなしだ。別れ際、妻の目からは涙が溢れている。旅をしていなければこんな大きな優しさに触れられることはなかっただろう。夜の山の体験はかなり怖かったが、そのおかげで素晴らしい出逢いがあった。貴重な経験ができた。Yさんには本当に感謝でいっぱいだ。

Yさん本当に有難うございました!

交流中

3人で記念撮影

Yさん手作りの染め物
Yさん手作りの染め物

出発前にもう一枚

最後まで見送ってくれるYさん

またまた森の中

Yさん宅を出た僕らはグーグルマップの指す通り進んだのだが、いかにも怪しげな道が現れた。

どうみても人はおらず、車もほぼ通らなさそうな道である。しかしナビ担当の妻はここしか道がないという。だが、明らかに森に入る道である。すぐそばに舗装されたきれいな道はあるがそれは車専用で歩行者は歩けないようだ。

仕方なく進むことにしたが、案の定熊が出そうな気配が漂っている。

どうみても先には山しかない

どんどん山に向かっている気がする

どんどん奥に入っていくとやはり熊の物と思われる罠がいくつもある。僕らは細心の注意を払いながら、自分たちの存在を知らせるため物音を立てて歩き続けた。効果はあるか分からないが、何もせずにはいられなかった。

熊かイノシシの物と思われる罠

罠がいたる所ある

熊かイノシシの物と思われる罠

途中、生き物の足音のようなものが何度かきこえた。実際は定かではないが、そんな気がした。僕は昨日の件があるのでとても敏感になっていたのだ。それに昼とはいえ、ここは森の中だ。

役に立つかは分からないが、僕らは石や木の枝を持って歩いた。何度も立ち止まっては周囲を確認しながら進んだ。

すると前方で何やら動いているではないか!

ここからは遠くて何だかよく分からないが、茂みの向こうで何かが動いているということだけは分かった。よく観察していると、色が白っぽいのでどうやら熊ではなさそうだ。

とりあえず慎重に近づいてみると人間だった。向こうも僕らにビックリしている。「こんな森の中に人が!?しかも日本縦断!?」と言わんばかりの表情だ。

僕らは豊岡に行きたいと伝えると「行けないことはないけど、普通はみんな海沿いを行くよ。ここから先は山だし、木も倒れたりしてて誰も通らないよ。」と教えてくれた。

森の中で作業していた地元の方

後になって考えるともう少しちゃんと調べてから進めば良かったと後悔している。わずか3~4㎞遠回りするだけで熊がいるような危険な山を越えなくても済んだのだ。

しかしこの時は海沿いを通ると1日遅れるだろうという感覚だった。ちゃんと調べればわずか3~4㎞の平坦な道だったのに・・・。

とにもかくにも危険を承知で僕らは進むことにした。

死んだ山道

平坦な森を抜けると今度は坂道が待っていた。先に進むとだんだんと道が荒んでいった。

香住の死んだ山道

ガードレールにもコケや錆がいっぱい

道を塞ぐまでではなかったが、木々が倒れていたりガードレールは錆びたりコケで緑に染まっていた。そして何よりも、真昼間でしかも太陽もカンカン照りな天気なのにここは薄暗い。それに湿っぽい。

昨日の今日なので恐怖心がまた蘇ってくる。

僕らが歩いた山道がここ

僕らは熊に出会わないようにトレーラーに風鈴をつけているのだが、これだけでは遠くまでは聞こえなさそうなので、太い木の枝でガードレールをたたいたり、即席で熊鈴の代わりになるもの(熊枝?)を作った。

手作りの熊鈴ならぬ熊枝

自作の熊枝は動画ではあまり音は大きくないが、風鈴よりは周囲に大きく聞こえていた。

歩くこと約1時間、ようやく山の頂上に着いた。上るのには苦労したが、眺めは最高だ。久々の陽の光が気持ち良かった。頂上だけは手入れされており、周囲の木は切られていた。

おかげで獣の隠れる場所もなかったので少しばかり緊張が緩んだ。とはいっても最低限、周囲を気にしなくてはならない。いつ熊が現れるか分からないのだ。僕らは食料も持っているのだから。バナナとか!ドライフルールも!

臭いはプンプンしてるはず・・・。

奥に見えるのが日本海
頂上に到着

周囲は山に囲まれていて最高の眺め
頂上に到着

そして下ること約1時間、ようやく民家が見えてきた。この辺からは徐々に車が通るようになってきていたので熊に出会う恐怖も多少和らいだ。

ようやく民家が見えてきた

山を越えるのには約2時間かかったが、結局、熊に出会うことはなかった。しかし僕らが音を立てていなかったらどうなっていたかは分からない。途中で獣かは分からないが、物音や気配はした。

さて、時刻はもう14時を過ぎている。しかし今日の目的地まではあと20㎞もある。今日もまた陽が暮れての到着が確定したのだった。。。

そして案の定、到着は19時だった。夜道の中交通量の多い街中をトレーラーを押しながら歩くのはとても疲れた。今日はもうくたくただ。今晩はもう遅いのでホテルの方に勧められた近くの食堂で食事をして済ませ、すぐに寝た。

今日の宿泊先は「豊岡スカイホテル」
豊岡スカイホテル

133日目は休養

日本縦断133日目。今日は休養日に充てることにした。夫婦で会議した結果、あまり無理をしてもまた故障して歩けなくなるので、きちんと休養をとろうということになった。

今日はこの付近でお祭りがあるようで、朝から外が騒がしかった。地元の祭りを楽しみたいが、夫婦そろって元気がない。

ホテルの窓から顔を出すのでやっとだった。

子供たちが神輿を担いで街を回っている
豊岡の祭り

夜は近くのショッピングモールで冬用のインナーを購入。これで少しは寒さも和らぐだろう。本格的な防寒着はもう少し北上して、金沢辺りで購入しようと思う。

さぁ、明日は京都だ。

コメント

  1. 酒藤直幸 より:

    兵庫県豊岡市(日高町)は冒険家の植村直己さんの出身地です。彼も1971年8月30日から10月20日まで51日間をかかけて、稚内市から鹿児島まで歩いています。

    • あきら より:

      そうなんですね!それにしても51日とは凄い・・・。1日平均70㎞くらいですかね。全く想像がつきません。人間やればできるんですね!

  2. 河野惠 より:

    お久しぶりです。お元気ですか?しばらくぶりでパソコンに向かいました。年末に退職し、3月からまた働くことにしました。大雪でも行けそうな超近い職場なので大変ありがたいです。我が家へ寄っていただいた記事恥ずかしやら・・・。海岸線を行くコースはとても景色がよかったのに教えて差し上げればよかったですね。また、記事を楽しみにしています。

    • あずさ より:

      年末の退職お疲れ様でした。3月からは近場で働くんですね(^-^)ってもう一週間後ですね!二ヶ月間何してましたか?ゆっくり畑仕事したり、染物したりして充実してました?

      私たちもゴールしてもう二ヶ月、経とうとしています。そろそろ重い腰を上げて運動しなければ行けないなと感じています。二人とも脂肪がつき始めてます^^;減るのは遅いのに付くのはすぐです。。

      旅の話し、河野さんと別れてなぜ海岸線を選択しなかったのか振り返ってみると、あの時はわずか4km5kmの距離でもとにかく最短な距離をと選んで進んでいたんですよね。でも山道は怖かったです。いつ獣がでてもおかしくない感じでした。何もなくて良かったです(´∀`)

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