徒歩で日本縦断するキッカケ

日本縦断のキッカケは、ホリエモンの「ゼロ」

キッカケは堀江貴文さんの「ゼロ」を読んだのがキッカケです。この本の中で堀江さんが“ノリ”でヒッチハイクをするシーンがあります。おそらくその辺からうっすらと日本縦断を意識し始めたと思います。

堀江貴文「ゼロ」

僕は堀江さんを昔からなぜか嫌いになれませんでした。僕自身が社会に上手く適合できなかったからだと思います。そして友人の勧めでこの「ゼロ」を読んでみると、それはまあ似た境遇だこと。僕は頭は良くないが幼い頃から周囲に溶け込めませんでした。友達は普通にいたけど、どこか心にぽっかり穴が開いていました。ドライな部分は似てないけど、読めば読むほど共感をしました。

そして僕も何かしたいと思い、瞬間的に色々考えました。何かやりたくないことをしようと。めんどくさそうで逃げそうなことをしようと。そしたら自分がもう一つ成長できるんじゃないかと。

そこで頭に二人の珍友が登場します。

友は既に旅人だった

公務員バックパッカーの珍友

一人はバックパッカーの友人。彼とは価値観もとてもよく似ていて、意見も物凄く合います。お互いどこか社会に適合できないのも同じで、よく社会や政治などを俯瞰してはああでもないこうでもないと討論しています。

また彼は読書家でもあります。表にはその知識や才能をひけらかすことはありませんが、ダムのような知識と、アーチェリーの金メダリストが的のど真ん中を射抜くような物事の確信を見抜く才能が彼にはあります。そこに冒険心があるのです。

そんな彼は普段公務員として存在を目立たせないよう生活していますが、普通の人より社会を知っています。世界を知っています。彼の話はとにかく面白いんです。

“ノリ”を持った珍友

そしてもう一人はいつも一緒にフットサルやご飯に行く中学の同級生です。彼は10年前にバイクで日本をほぼ一周しています。はじめ「ちょっと日本一周してくる」と聞いた時は変な事するな~くらいにしか思っていませんでした。

なんなら無駄とは言わないけど、得るものがそんなに沢山あるなんて思ってもいませんでした。僕は旅行にもあまり興味がないのでその程度の感覚で捉えていました。

しかし彼が旅の話をすると生き生きと面白そうに語るのです。

よく考えてみると彼もまた表には出さないけど色々なことに挑戦していました。当の本人はそんな大そうなことをしているつもりはないのでしょうが、周りから見ていると物怖じせず色んなことに取り組んでいるように見えます。

彼もまた冒険心や挑戦心が強いのでしょう。面白いと思ったことは何でもやるんです。まさに“ノリ”を持った男なのです。

“ノリ”=判断力+決断力+スピード

この二人の旅人の経験がなぜか僕の頭の中に長年定期的に浮かんできていました。

そして今回の堀江さんの本での“ノリ”の大切さとヒッチハイクというキーワードでスイッチが入ったと思うんです。

僕は慎重派なのでノリで思いついても、用意周到に準備をして挑むタイプです。準備している間に機を逃すことも多々あれば、気持ちが冷めることも多いです。そんな経験ばかりだったので僕はずっとこの“ノリ”の大切さを痛感していました。

僕の中でこの“ノリ”とは

【“ノリ”=判断力+決断力+スピード】

だと捉えています。

“ノリ”を経験すればするほど、この判断力と決断力とスピードが身に着くと思うんです。簡単に言うと嗅覚ですかね。嗅覚を鍛えたいんです。面白そうとか、ワクワクドキドキするとか、そういった冒険や挑戦の魅力の匂いをかぎ分けてより良い判断でいち早く、熱いうちに動き出したいんです。

でも本来“ノリ”ってそんな難しい事など考えないのが“ノリ”ですよね。矛盾してますがそうだと思います。

当初は将棋の羽生名人の研究でもしようかとも思いましたが、本ではなく体で体験してみたかったんです。僕には圧倒的に経験が足りなかったからです。

だったらできそうもない事をやろうということで、日本縦断を“徒歩で”やることにしたんです。旅をしているとよく「なぜ歩きなの?自転車なら分かるけど。」と聞かれます。

分からなくもないのですが、僕らかするとできそうなことをする意味はないかなと。

できないことに挑むから得られるものがあるのかなと。

ならむちゃくちゃなことやってみようと思ったんです。手間や苦労など考えずにただめんどくさそうでとてつもない事を。

だから歩きに拘ったんです。旅を楽しみたい気持ちもありますが、それよりも成長欲の方が強いです。

日本縦断を決めた当初は何が得られるか全く分からないけど、さすがに沖縄から北海道まで歩けばデカい何かが得られるだろうと漠然とでしたが確信はありました。

“ノリ”のもう一つの能力

ノリにはもう一つの能力があって、それは「案外正解率が高い」という能力です。

直感に似ています。直感は理由は分からないが答えを導く論理的な過程をすっ飛ばして答えに瞬時に到達する能力だと何かで読んだ気がします。僕もそうだと考えています。確か将棋の羽生名人も似たような事を言ってたと思います。

そのノリには理由があるのかもしれないけど、そんな理由など考えるとノリではなくなってしまいます。だからノリは思い立った瞬間が大事なんです。直感と同じです。そして案外、ノリで思いついたことをやるときっと楽しいのです。

僕にはノリで行動した経験がほとんどありませんが、ノリを大切にしている人たちは輝いていることが多いです。その一人が堀江さんです。

迷いや不安との闘い

しかし僕も人間ですからここで迷いや恐怖や不安が立ち塞がります。彼らが

意思を

“ノリ”を

打ち消そうと何度も奇襲攻撃を仕掛けてきました。

僕がその時に取った行動が即断即決です。僕は彼らの邪魔が入る前に即断即決をしたんです。ドアを強引に閉め鍵という鍵を閉めたんです。決めちゃえばもうやるしかありません。そして念のため「逃げない」という意思決定も自分に下しておきました。

そして自分だけでは不安なので隣で寝ていた妻にも「歩いて日本縦断するよ!」と即座に伝えました。妻なら反対はしないのは分かっていました。これまでも何一つ反対されたことがないので。

次に先ほど登場した二人の旅人の友人や、身近な人たちに徐々に伝えていきました。その後もどんどん周囲に公言していきました。どんどん自分を逃げられない状況に追い込みました。

僕は昔2度ほど留学をしたくて準備をしようとしましたが、結局逃げました。その経験が今回も脳裏をよぎったので、「今回こそは絶対逃げない!成長するんだ!」と自分に言い続けました。今回はとことん自分を洗脳しました。

どんどん道具を買い集めてかなりのお金を使いました。キャンプ道具など一つも持っていないので何もかも手に入れなければならず、結構な資金を使いました。

こうして、これでもう逃げられないというところまで徹底的に自分を追い込みました。

それでも逃げる意思の弱さ

日本縦断を思いついてからしばらく経った頃、気持ちの準備は整ったように思っていました。いや、思おうと必死でした。しかし出発日を決めても仕事だの梅雨だの装備のあれがないこれがないだの、なんだかんだ理由をつけて結局出発日は5~6回変更し先へ先へと伸ばしました。

やはりやろうとしていることの壮大さもあったのでしょう。弱い自分がどうしても出てきました。

このままだとまた逃げると思ったので、最終的に出発日を6月5日と決めて周囲にも発表し、出発会の場所と時刻も伝えました。もうこれ以上僕にできることはありませんでしたし、なるようになると思って不安な気持ちをあたかも存在しないかの如く無視し続けました。

結果、6月5日に出発することができました。

壁は虚像だった

いざ出発してみると、これまでの躊躇はなんだったのでしょう。

何も怖い事はありません。不安はあるけど、この約二ヶ月、どうにもならなかった事など一度たりともありません。毎日どうにかなっています。

つい最近までは出発までの過程は無駄だったと思っていましたが、実は試練だったんだなと今は思います。旅は旅に出る前から始まっていたのです。

交通事故に合うかもしれない恐怖、寝る場所がない不安、食べ物の心配、これらの壁は全て自分が作り上げた虚像でした。それを乗り越えられたからこそそれが虚像だと分かったんです。

動かなければずっと壁であり続けた事でしょう。

もう今僕の前に壁はありません。