ここ油谷では寄付もした。寄付先は下関市にある「なかべ学院」という児童養護施設である。何らかの理由で親と離れて暮らしている子供たちの施設だ。
旅で自炊や野宿を取り入れて浮いた分なのでほんの僅かだが、喜んでもらえたようで僕らも嬉しい。
今回書くことはあくまでも僕らの主観である。本人がどう思っているかは全く分からない。そういう視点で読んでほしい。
テレビの向こうの話
僕たち夫婦は子供が好きなのだが、まだ子供がおらず旅に出るまでは妊活中で毎週病院に通っていた。当初は子供ができてから家族で日本中を走って回る予定だったが、なかなか子供ができないので先に僕らだけで出発した。
世の中には子供が欲しくても授からない人間もいれば、子供を虐待したり死に至らしめる親もいる。そんなケースが段々と目立つようになり、そんなニュースを観る度に僕ら夫婦は胸を痛めていた。また僕たち夫婦は養護施設や養子縁組のドキュメンタリー番組などもよく観ていたので、世の中でも少し意識が高い方だったのかもしれない。
がしかし、周囲にそういった施設があるにも関わらず、何ら行動は起こせずにいた。そのことを少し悔いてもいた。
実際に接してみて
これも運命だろうか、ここ油谷で「なかべ学院」という児童養護施設の皆さんと出会うことができた。なかべ学院の子供たちがどういう理由でそこにいるのかは知らないが、決してみんな望んでそういう状況になったわけではないだろう。
子供たちの中には挨拶をしても返せない子もいれば、返せる子もいる。元気な子もいれば、悲しい目をしている子もいた。しかし全員が一致団結して行動している姿には、皆それぞれ互いを思いやったり自分の制御ができているんだなと感じた。
職員の皆さんも本当に一生懸命子供たちに寄り添っていた。その寄り添い方は仕事でやっているとは思えないほど、親身で一生懸命だった。
職員の方をお母さんと呼ぶ子もいたのもはっきり覚えている。
子供たちからは寂しさのようなものも多少感じたし、職員さんたちからは疲弊というか何か抱えているようにも受け取れた。もちろん本人たちがどう思っているかは分からない。それに僕らが児童養護施設という視点で見てるからそう感じてしまったのかもしれない。それは僕らにも分からなかった。
しかし他のスポーツチームや団体の子供たちとは明らかに違っていた。職員の皆さんの表情や動きも違っていた。それは確かに感じた。
これも勝手な話だが、その原因は我々社会にも責任があるのではないだろうか。何だか社会はこのような施設や子供たち、職員さんたちに疎外感を与えるような姿勢ではなかろうか。
少なくとも僕らはそう責任を感じていた。
行動に移す時
以前から何か力になりたいという思いはあったが動けていなかった後悔もあり、今回は何か少しでも力になりたかった。
そして始めは余った飴玉をあげようと思ったが、受け取ってもらえなかった。不公平が出るのがまずかったのかもしれないし、何らか施設の指導方針があるのかもしれない。これまではずっとテレビの向こうの世界だったので、僕らは何をしてよいやら、どう接してよいやら全く分からなかった。それに旅をしている状態なのでできることは限られていた。
そうこうしているうちになかべ学院は帰っていった。
僕らは後悔していたが、後ほど寄付は受け付けていることを知り、早速させてもらった。もちろん旅の途中なので大した金額はできなかった。これまで野宿などで浮いた分くらいだ。
お礼の手紙と寄付に込めた想い
寄付の額が僅かにも関わらず、後日、子供たちから手紙が届いた。
中を開けると、一生懸命お礼や旅の応援メッセージが書いてある。字を覚えたての子もいる。そんな年齢からその境遇に置かれていることも僕らとしては辛かった。
しかし僕らの寄付に込めたメッセージは、
「社会はあなたたちを見捨てない」
というものだ。
もちろん僕らだけではどうしようもない。これは社会全体でこういった施設ともっと向き合い、サポートする必要がある。資金面だけでなく、精神面でもそうだ。子供たちだけでなく、職員さんも抱えているものがあるはずだ。職員さんだけにこういった深く大きな問題を押し付けたままではいけない。我々大人はそういった全体的な視野でサポートできる世の中を作っていかなければならないと思う。
僕ら夫婦も今後も何ができるのか考え、そして行動に移すとしよう。
読者の皆さんも、まずはこういった社会全体の課題に目を向けてみることからでも始めてみてはどうだろう。
全ての子供たちが自分の望む未来を掴めますように。
なかべ学院の皆さん、お手紙有難うございました!院長さんご夫婦もお礼有難うございました!皆さんの気持ちも北海道まで一緒に持っていきます!
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