日本縦断144日目(2016年10月26日)
聞いたおかげで難を逃れる
今日も早朝5時過ぎから始動。昨晩は雨が降った。道の駅の職員さんのおかげで屋根の下で寝かせてもらえたので、雨風を凌ぐことができた。感謝。もし昨日、あの職員さんに野宿していいか聞きにいかなかったら、屋根の無い場所で寝ていただろう。そしたら湿った風でテント内はもちろん寝袋も濡れていただろう。許可を得にいって良かった。正直者は救われた。
身支度を整えると昨日買っておいた朝食を食べた。
2人のチャリダーと交流
朝食をとっていると施設にある他の場所で寝ていた2人のチャリダーと出逢った。1人は若い青年で日本一周だか何だか覚えていないが、とりあえず旅人である。もう1人は40代くらいだろうか、お遍路を終え中古で自転車を購入し全国を旅しているらしい。本人も自転車もかなりベテラン旅人感が出ている。しかし僕らより2人の方が驚いていた。
2人:「え!?今から北上するの!?」
僕ら:「はい。狙ってではなく、予定がずれにずれて・・・。」
40代チャリダー:「僕はもう寒くて青森から南下してきたのに、今から北上する人がいるなんて・・・。」
と2人とも唖然としていた。(記憶が定かではないが、多分このような会話だったと思う。)
やはり冬の北上は危険そうだ。
ライオンが出た!
旅人の交流を終え、いざ出発。今朝は天気も良く、静かな農道を歩く。
しばらくすると、街中に入った。すると突然、ライオンらしきものが目に飛び込んできた。
建物の中にいるのでガラスで反射して何かよく見えない。近寄ってみると、「獅子奮迅」と書いてある。どうやらこれはライオンではなく獅子のようだ。他にも「あわら市を盛り上げていく」と書いてある。それにしても立派な獅子だ。
福井県にお別れ。そして石川県に突入
その後はのどかな畑の中を電車が走る田舎道や、いかにも土砂崩れが起きそうな斜面を通り抜け福井県と石川県の県境に辿り着いた。
ようやく、ようやく、石川県だ。「疲弊しきっているのによくぞここまでたどり着いた!」という気持ちが湧いてきたが、地図を見ると「は~まだ日本の半分くらいだ」と現実に引き戻される。しかしネガティブな事ばかり考えていても距離が短くなるわけでもないし、勝手に前進するわけでもない。
とにもかくにも、ただひたすら歩く以外に僕らにできることはないのだ。この辺りからはそう気持ちを切り替えて歩くことにした。身体的に歩けなくなれば、もう自分たちの意志ではどうにもならない。それはそれで全余力を尽くしたので納得ができるだろう。その時が来るまでは頑張ろう。僕らはそう結論付けた。
蛇に大仏に柿
石川県に入るとすぐに蛇に出くわし、遠くで大仏らしき(加賀大観音というらしい)が見えたり、高校の前では注目の的となりながら歩みを進めた。
もうすぐ本日の目的地というところで、またまた一台の車が僕らの前で止まった。中からは優しそうな初老の男性が出てきて「柿食うか!?」と言う。続けて「ついておいで!」と何やらわき道を奥へと進んでいく。「これわしが育てた柿!ビタミンたっぷりで疲労回復に良いよ!」と2つもぎ取ってくれた。有難く頂戴し、最後に記念撮影をして別れた。
間一髪!
その後は何事もなく無事、本日の目的地「道の駅 こまつ木場潟」に到着・・・した途端に豪雨!あと5分10分遅れていたら、ずぶ濡れだった。ここには温泉は無いので濡れたら最後、ガタガタ震えて乾くのを待つほかない。柿に引き続き幸運だったと安堵した。
道の駅こまつ木場潟
到着して10分で大雨!
「道の駅こまつ木場潟」は良い!
運良く雨を逃れた僕らはとりあえず夕食をとることに。ここ「道の駅こまつ木場潟」には飲食店があり、中でゆっくり食事ができる。注文ついでにお店の方に野宿できそうか聞いてみる。とりあえず大丈夫そうだ。
注文を終え席に着くと、ティッシュの箱に「いらっしゃいませ!」「ご来店ありがとうございます」と手書きのメッセージが書いてある。しかも驚いたことに、見える限り広い店内の全てのティッシュの箱に書いてある。これは凄い!
盗難対策というのもあるかもしれないが、「いらっしゃいませ!」や「ご来店ありがとうございます」という言葉を付け加えるのは感謝の気持ちの表れだろうと思った。しかも全て手書きなので、そうとうな労力がいるはずだ。それを惜しまず書くのだから素晴らしい。ただ給料のために働くのと、気持ちを込めて働くのとではこういう細かいところに差が出てくるのではないだろうか。良い事を学ばせてもらった。有難い。メッセージに感心していると注文した食事が運ばれてきた。
そして続けておにぎりの差入れまで持ってきてくれた。ここの職員さんがあれだけ大量の手書きのメッセージを書く理由が分かった気がする。おそらくここ「道の駅こまつ木場潟」の職員さんは感謝や優しさといった気持ちを持ってお仕事をされているのだろう。僕らが通常の生活の中で訪れていたらおそらくこの感謝や優しさに気付くことはできなかったかもしれない。旅だから気付けたのだろう。これも旅の恵みである。
石川県の初日は色んな出逢いがあった。おかげで心の栄養も蓄えられた。感謝でいっぱいである。徒歩日本縦断144日目、旅はつらいが夫婦互いにだけではなく、色んな人に支えられているのが実感できるようになってきた今日この頃である。
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