127日目:出逢いに恵まれた日

祭りに遭遇しもてなされる 歩記

日本縦断127日目(2016年10月9日)

日本縦断はクモとの戦い

早朝、人が来る前に片づけを済ませ出発する。公園での野宿ではあったが、少しは眠れた気がする。また少し野宿に慣れてきたようだ。

鳥取県に入って気付いたことは、土ではなく砂の畑があることだ。全部が全部ではないが砂の畑を何度も目にした。鳥取には鳥取砂丘があるので、地質などが関連しているのだろうか。

砂の畑

話は変わるが、歩いて日本縦断をしているとどこに行っても困ることがある。それはクモだ。

僕らは基本的に国道を歩くのだが、国道だからといって人の往来があるとは限らない。むしろ人と出会うことはあまりない。なので歩道にはクモの巣だらけだ。それがしょっちゅう顔や体、幟、トレーラーに絡みつく。そしてクモも一緒にくっついてくる。

別に毒があったり怪我をするわけではないが、ほっとくとトレーラーや荷物に住み着いて翌日にはそこに巣をつくってしまう。

なのでクモの巣が多い歩道では木の枝でクモの巣を取り払いながら前進する。

クモの巣を取り払う木の枝

クモの巣を取り払う

地元の祭りに参加

クモの巣を取り払いながら先を急いでいると、後ろから「おーい!」と声がした。振り向くと年配の男性が遠くで「コーヒーでも飲んでいかんか」と誘ってくれている。

しかし今日の道のりは36㎞と長い。妻の膝がまた痛む恐れがあるので歩行速度も上げられない。しかし休憩は必要なので昼食をとりながら休むことに決めていた。だから申し訳ないが断った。何度も手招きして読んでくれているが、僕らも何度も時間がないからと断り先を急いだ。

そして調度12時を回った頃、町に入ったので飲食店かお店を探すことにした。しかしなかなか見つからず、グーグルマップで調べても近くてもあと10㎞以上先にしかなかった。

もうこれは我慢するしかないと思い歩いていると、何やら祭りの格好をした人達が現れた。

鳥取県東伯郡湯梨浜町泊の祭り

どうやら今日はこの町(鳥取県東伯郡湯梨浜町泊)で小さなお祭りがあるようだ。

すると一軒の民家の駐車場から「これ飲みませんか!?」と声がした。よくみると、お祭りに出かける男衆のために飲み物を用意しているようだった。僕らの日本縦断の幟を見て声をかけてきてくれたのだ。

すると、今から御馳走を食べるから一緒に食べていかないかと誘われた。

この時はまだ遠慮する性格が残っており、本当に甘えていいのだろうかと戸惑っていた。それに時間的にもあまり長居はできないのもあって躊躇していたのだが、あと2時間以上も食事がとれないし調度お昼休憩の時間でもあったので思い切ってお言葉に甘えることにした。

御馳走とはいっても簡単なものかと思っていたが、本当に御馳走だった。オードブルから寿司から刺身からかなりの御馳走だった。普段コンビニのおにぎりやカップラーメンばかりだったので、本当に有難かった。一品一品噛みしめて味わった。

美味しい物も食べることができたし、地元の方とも交流ができとても満足だった。

時間が迫ってきたので僕らは再び歩く出すことにした。

皆さんは泊まっていけと言ってくれるが、僕らは早く北上しないと北海道に着くのが冬になってしまう。(この頃はまだ北海道で雪が降る前にゴールするつもりだった。)

感謝を述べ、再び歩き出す。

鳥取県東伯郡湯梨浜町泊のおもてなし料理

鳥取県東伯郡湯梨浜町泊のおもてなし料理

鳥取県東伯郡湯梨浜町泊の皆さん

鳥取県東伯郡湯梨浜町泊の皆さん

感謝を述べ出発

湯梨浜町泊の皆さんへ

湯梨浜町泊の皆さん、本当に有難うございました!

そして最後まで応援して頂いて感謝しています。

特にお母さん、最後の最後まで見守ってくれて本当に有難うございました!

この思い出は一生の宝です。

おじいちゃんチャリダーとの出逢い

とても貴重な経験ができた僕らは最高の気分で歩いていた。そして2時間くらいたった頃、また声をかけられた。声の主に目をやるとすぐにチャリダーだと分かった。

しかしよーくみると、旅人の中でもちょっと変わった感じだった。乗っている自転車もレトロな感じだし、服や被っているものも特徴的だった。顔をよく見ると年配の男性だった。もうおじいちゃんと言ってもよさそうなくらいだ。お互い引き寄せられるように近寄ってすぐに打ち解け合った。

この方は凄く話しやすくて優しい方だった。話をきいてみると、歳は70くらいでもう30前後から自転車の旅をしているそうだ。

なんとチャリダー歴40年だ!

なんたる強者!

基本的に寝るのはテント、食事は自炊だそうだ。若い頃に自由に生きたいと会社を辞め独立したそうだ。普段は仕事をして、たまに長めの休みをとっては自転車でこうやって全国を旅してきたそうだ。それをもう40年も続けている。現在は仕事は引退し、こうやって好きな時に旅をしているらしい。

このなんとも話しやすい人柄や優しい性格はそうやって培われたのだろうか。それとも元々持っていたものだろうか。

何とも羨ましい年の取り方だ。かっこいい。

また良い人に出逢えた。

チャリダー歴40年のおじいさん

チャリダー歴40年のおじいさんのレトロな自転車

チャリダー歴40年のおじいさんのレトロな自転車

ところで実はこの少し前にもおじいちゃんライダーに声をかけられていた。島根では全くといっていいほど、声をかけられなかったのに鳥取に入って以来、頻繁に声をかけてもらえる。隣同士の県なのにこの違いは何だろう。

冷たいけど温かい、栗入り赤飯おにぎり

おじいさんチャリダーと別れ僕らは再び先を急いだ。民家での御馳走といい、優しいおじいちゃんチャリダーといい今日はとことんついている日だ!

しかしこんなに良い出逢いがあるとは予想していなかったので、予定よりも歩けていなかった。そしてまた夜になってしまった。今日は3連休の中日なので、道路は渋滞だ。歩道の無い道もこの渋滞の中歩かなければならない。事故に遭わないよう注意しながらひたすら歩いた。

暗くなってしまった

そしてようやく本日の目的地、道の駅「神話の里 白うさぎ」に到着した。

しかし夜の道の駅だというのに駐車場は満車だ。建物内も人であふれている。もう20時だというのになぜこんなに人が多いのか不思議だった。そういえばこちらに向かっている間もずっと渋滞だった。世間は連休でみんな遠出でもしているのだろう。

僕らはとりあえず夕食をとることにした。夕食はこれまたお昼を御馳走になった家のお母さんから頂いた「栗入り赤飯おにぎり」とコンビニのおかずだ。おにぎりはもう既に冷めきっているが、泊のお母さんの温かさが身に染みた。

差し入れのおにぎり

ここでもまた助けられた。泊のお母さんには本当に感謝でいっぱいだ。

ゴミ置捨て場で野宿

食事を済ませるとテントを張れそうな場所を探した。しかし今日は連休の中日だからだろうか、車中泊の車で道の駅の駐車場は車でいっぱいだし、テントが張れそうな屋根付きのスペースも使われている。

仕方なく僕らは屋根もないゴミ置き場のそばにテントを張ることにした。

ちなみにここは物凄く風が強い場所だった。妻との会話も耳元で大きな声で話さないと聞こえないほど風と波の音が物凄かった。僕らはテントが飛ばされないよう必死にテントを張った。どうにかこうにかテントをたてた僕らは、周囲からの好奇の眼差しを受けながら寝支度をしてようやく眠りについた。

車中泊している人やファミリーもとても多かったからか、夜中中ずっと車のヘッドライトが行き来し僕らのテントは何度も照らされた。トラックのエンジン音、風と波の音も激しかった。しかしなぜかある程度眠ることができた。

人の体は不思議なもので、自分の家かホテルでしか眠れないこんな僕ですら野宿に適応し始めている。なんとも不思議だ。ちなみに妻は相変わらず野宿でもぐっすり寝ている。

翌朝に撮影した野宿場所
道の駅神話の里白うさぎで野宿

奥に見えている白い袋がゴミ
道の駅神話の里白うさぎで野宿

左の木の壁で囲まれているのがゴミ捨て場
道の駅神話の里白うさぎで野宿

道の駅神話の里白うさぎで野宿

野宿した道の駅神話の里白うさぎ

コメント

  1. 濱中弥生 より:

    あの場所で寝たんですね‼
    白兎は海がすぐそこで10月だからって
    海風、潮風はきつかったと思います。
    ……だから「お祭りついでに泊まっていきないな」って😅
    それでも出発する二人に
    栗入りのお赤飯持たせて送り出すのが精一杯だったね。
    あのあと、みんなでこれから冬に向けての北海道は大丈夫なんだろうかと心配で心配で…
    本当に頑張ったね✌
    そして、おふたりの思いでのなかにくわわれて嬉しかったです😊
    これからもふたりで力を合わせて幸せな家庭を築いて下さいね。
    また、会えることがあるかなぁ?
    娘が沖縄大好きなので、また行くことがあればお声をかけたいと思います
    その時はよろしくお願いしてます(笑)
    出逢ってから3ヶ月、一念歩記楽しかったです。
    これからもゴールまで読み続けますね🎵

    • あきら より:

      濱中さん、あの時は御馳走におにぎりに有難うございました!

      風はもう本当に強くてビックリしました。なのでゴミ捨て場のそばでしたが、左右壁で挟まれたあの場所は助かりました(笑)

      今思えば泊まっておけばよかったなぁと後悔(^^;しかし前日に壊れたトレーラーの部品の受け取りがあったため、なるべく早く鳥取駅に着きたかったんです(;_;)

      沖縄はまだ今も20℃あります。この時期にそちらから来られれば暑く感じるかもしれません。お越しの際は是非お声掛けください(^-^)

      いつもこうやって読んで頂いて、コメントまで頂けるとブログも書きがいがあります(^-^)

      いつも有難うございます!!(^^)

  2. 濱中弥生 より:

    そうそう‼
    鳥取駅に急ぐとの事でした。
    「送ってあげるよ!」なんて言ったりしてね😁
    酔っぱらい達も「歩いたことにして、車で送ってもらえば」なんて好き放題言って……
    正真正銘の徒歩での完歩❗
    これからの出逢いの日記楽しみですよ🎵

  3. 97 より:

    やっぱ泊はいいとこだな。

  4. 濱中弥生 より:

    沖縄にも泊ってあるの?
    北海道は知ってたけど……!

  5. 石狩の支援者 より:

    話の途中ですが…。「泊」という地名は各地にあり、港では青森県六ヶ所村、富山県氷見市にあります。

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