日本縦断23日目(2016年6月27日)
完璧な雨対策が仇となる
本日の天気は小雨。念のため用心して出発前からレインウェアを装着。もちろんシューズもサロモンのゴアテックス製トレランシューズだ。足首にもゲイター(スパッツ、足首用のレインカバー)を巻いた。頭には防水ハット。これでもう完璧。これでどんな雨でも問題ない。
強気の僕らは雨など気にせず早速日本縦断23日目をスタートさせた。
ゲイター(スパッツ)とソロモンのゴアテックストレランシューズ
歩いて10分もしないうちに体が熱い。それはそうだ。完璧な雨対策で体のほぼ全てを防水の通気性が悪い素材で覆われているのだ。体中が蒸し暑い。しかも雨はほとんど降っていない。先ほどの小雨もどこへやら。
しかし天気予報でも雨だったので(豪雨の予報だったと記憶する)、今脱ぐわけにはいかない。実はレインウェアやゲイター、シューズなど雨対策は結構手間がかかる。一度脱ぐと手間過ぎでまた片付けやら通常の服の出し入れやらでかなり面倒なのだ。
ここは我慢して進むしかなかった。
しかし結局1時間経っても雨は降らない。小雨すら止んでしまった。レインウェアの中はかなり汗だくだ。もう脱ぎたくて仕方なかった。歩くスピードもなんだかいつもより遅い気がする。今では雨が降ってから着るんだったと後悔している。こうして完璧な雨対策が仇となった。
にわか評論家夫婦、奇麗な古民家に潜入
完璧な雨対策を後悔しながら歩いていると、前方に一軒の古民家がみえた。もうここは街なので昨日の山の中の田舎とは違い都会だ。古民家などない。なので前方に見える古民家は目立っていた。だんだんと距離が狭まっていく。すると徐々に詳細がはっきり見えてきた。
先を話す前にこの写真を見てほしい。これはこの古民家の内部だ。
かなり洒落た家ではないか。とても家具と家がマッチしている。こんな家に住みたいものである。僕らにとっては結構理想的な家だ。
さて、なぜ僕らがこの古民家の内部にいるのか、そして撮影ができたのか、不思議だろう。テレビ好きの人なら気付いた人もいるだろう。
それでは続きを話す。
近くで見ると古民家とは言っても作りは新しく見える。古民家をリフォームでもしたのだろうか。新築に近い状態に見える。とても奇麗だ。庭もしっかり手入れされており奇麗だ。
「ん?」
一瞬何かと思ったら、歩道に向かられて看板が立っている。
なぜ古民家に看板がたっているのか不思議だった。「なの花」と大きな字で書いてある。
「あー!古民家でデイサービスか何かやってるんだな」と思った。
「なるほどねー、人は色々考えるねー」と感心しながら通り過ぎようとした。
すると後ろから妻の声が。
「ここコインランドリーらしいよ!」
「え!?」
僕はかなり驚いた。一瞬通り過ぎたがすぐに戻ってきた。この旅では色々なコインランドリーを利用させてもらってきた。最近のコインランドリーはかなり進化しているのを肌で感じていた。今は布団や毛布は当たり前で、靴まで洗えるのだ。靴用の乾燥機まで完備されている。凄すぎる。普段コインランドリーを全く利用しないのでこの進化をまざまざと感じるのである。
そんな“にわかコインランドリー評論家”な夫婦にとって、これは立ち寄らないわけにはいかなかった。早速妻と内部へ潜入する。
にわか評論家夫婦の突撃取材!
扉は自動ではない。手動だ。この辺も古民家の体をくずさない。うむ、素晴らしい。扉を開けた途端、目の前に業務用の洗濯機がぎっしり壁に埋め込まれて並んでいた。
洗濯ものを広げる台もきちんと古民家に合わせて作られている。ここグッドだ。
横を見ると、
そう先ほどのソファーの部屋だ。もう少し見学しよう、そう思った矢先奥から年配の女性が出てきた。どうやらこちらの管理人さんらしい。徒歩で日本縦断している最中で見かけて、興味があるので見学させてほしいと伝えると快く迎え入れてくれた。
中に上がるのは土足は厳禁だ。ここも普通の民家と変わらない。あくまでも古民家の体を崩さない。なるほど、ますます気に入った。
ここで靴を脱ぐついでにレインウェアやゲイターなど雨対策装備を全て脱いだ。かなり涼しい。もうこの後も雨は降りそうにないのでそのまま片付けた。天気予報は当たらないことも多い。今日も当たらなかった。
身軽になった僕らは中を探検した。まさに、“にわかコインランドリー評論家”のごとく色々見て回った。トイレや洗面台もある。よくよく管理人さんに話を聞いてみると、どうやらここはモデルハウスらしい。
探索していると階段も見つけたので、許可をとって二階へ。二階は布団が干せるように棒が備え付けられていた。他にも椅子やテーブルもありくつろげるようにはなっていたが、実際はほとんど使われていないらしい。布団を干す人もあまりいないのだとか。
家中を見て回らせてもらいとても満足した。ついでに家の掃除は面倒か、冬は暖かいか、夏は涼しいかなど住み心地を質問したりした。別に管理人さんは住んでいるわけではないが、管理人として定期的に掃除などもしておりなんとなく体感がおありだろうから聞いてみた。
住むにはそれなりにメリットデメリットがあるようだが、それはもう好みの問題だろう。
大事なお願い
もしこのブログでここに行ってみようと考えている方は、是非利用してほしい。管理人さんいわく、ここは有名でテレビ(珍百景とか?)にも何度か取り上げられて大変だったのだとか。利用客が増えるならいいが、見物が多いらしい。なので冗談交じりでこのブログにもあまり載せないでほしいと言われたが載せてしまった。
僕らにとって新しい発見で、とてもいいアイディアで、おばちゃんやお客さんとの良い出会いもあり、全体的に何かしらの感動があったから載せさせて頂いた。
それに全く権限はないのだが、管理人さんと仲の良い常連さんも載せてあげてと言ってくれたので載せることにした。
そういうわけで、見に行きたい方は是非利用をお願いしたい。近くにライバルとなるコインランドリーもできてお客もそちらへ流れて行っているそうだ。管理人のおばちゃんも優しくて面白い方なので是非洗濯しながらおしゃべりも楽しんでほしい。
天気のいたずら
にわか評論家夫婦の仕事も終え、出発の身支度を整える。その間に洗濯をしにきたお客さんに管理人さんが僕らのことを紹介してくれる。皆さん一様に同じリアクションだ。そして温かい声援を頂き心も満足した。
また良い思い出が一つ増えた。おばちゃん有難う。常連さん有難う。
気分爽快で清々しく旅を再開。よし、雨も降っていない。これならこの格好でゴールできる。時刻はもうすぐ正午。そろそろ昼食をとらねばならないが、今日の目的地まであと8~9キロ。おそらくこの後は平坦な道のりなので2時間もあれば着くだろう。そうにらんだ僕らは目的地のホテルに到着してから遅めの昼食をとることに決めた。
それに今日を乗り越えれば、明日からはホテルで連泊の予定。足りない道具やチャイルドトレーラーのメンテナンスもしなければならない。疲れだってかなり蓄積している。妻と相談し、ここは思い切って連泊をしようという結論に至っていた。
そうと決まれば躊躇なく歩くのみだ。
出発して10歩も歩いただろうか、ポツリポツリと空から滴が落ちてくる。小雨というほどでもない。全く気にならない程度だ。それにもう雨対策の装備は全て片付けた。もう出すのは手間だ。気にせず歩みを進める。
この決断が致命的だった。
コインランドリーを出発してから20分も経たないうちに視界を遮るほどの大雨となった。もちろん時すでに遅し。僕らはずぶ濡れだ。雨宿りして雨対策を施す暇もないほど急激に降ってきた。もう諦めてズブ濡れのまま歩いた。
↑の写真の20分後↓
救世慈母大観音様が見ているぞ!
歩いている途中、建物の合間からちょくちょく視線を感じていた。真黒な雨雲と大雨のせいで視界は薄暗く何だかよくわからなかった。
何度か探しているとほんの少し見えたので、iphoneで拡大してみた。するとそこには巨大な大仏様が立っていた。調べてみると有名な巨大仏像様らしい。その名も救世慈母大観音様。
調べてみるとこれは「成田山 久留米分院」にある巨大な仏像で高さは日本最大級の62m。こちらは地獄館というコーナーもあるそうで、それはそれは恐ろしい内容だった。
こちらに詳細が書かれたブログを載せるが、閲覧には気を付けてほしい。それはそれは怖い写真の数々であった。最後に動画もあるが、これは心臓の弱い方は観ないことをお勧めする。
【閲覧注意】福岡久留米の珍スポット!成田山久留米分院の地獄館写真
結局大雨の中1時間半歩き、今日の目的地「東横イン西鉄久留米駅東口」に到着した。
夏のロビーは真冬だった
入り口でできるだけ体に着いた水分を落とし、ホテルの中に入る。従業員も他の客も何事かと僕らを見ている。もう慣れているのでそんな視線は気にせず、チェックインに向かう。
フロントの方も表情は驚いているが、とりあえず手続きはできた。しかし時刻はまだ13時半だ。清掃が終わっていないので入れないという。予想はしていたので清掃が終わるまで待つことに。
しばらくして清掃が終わった。フロントの方が中に入れると教えてくれる。それならばとキーをもらおうとすると、別料金だというではないか。たった1時間早く入るだけで1,000円もとるという。体はズブ濡れでロビーはエアコンが効いているので寒い。しかし予想外の料金請求にイラッときたのと、わずか1時間に1,000円も払うのことはできなかった。それに「当然だろ」というような言い方にもイラッとした。
ガタガタと口元を震えさせながら、とりあえず部屋に入るのは断りロビーで待つと伝えた。すると相手は「え?何で?」という不思議そうな表情で固まる。
当然だ。安く泊まれるという理由でこのホテルを選んだ意味がなくなる。たかが1,000円だが、されど1,000円だ。1,000円あれば夫婦で2回分の食事ができる。8月現在、僕らの食費は一人一食平均300円未満だ。
それに対応が冷たいというか、業務的な対応にも不快感を覚えていた。
荷物だけでも部屋に入れてほしいと頼んだが、荷物はおろかこの1,000円を払わないなら上へも上がってはいけないらしい。荷物を預けてこの待ち時間でどこかで温かい物でも食べて体を温めようと思ったが、それもできない。
すると見るに見兼ねたのか、最後にガタガタ震える僕を見て「それでしたらタオルをどうぞ」とタオルをくれた。
その後はロビーで待つことは許可されたので、夫婦でズブ濡れのままロビーで1時間立ち尽くした。
タオルはもう水を吸い切れていない。そばにあるテーブルや床に水が垂れて辺りは水浸しである。申し訳ないのは山々だが、もうこれは仕方がない。外でずっと濡れるわけにはいかない。
もう夏だというのに僕らのロビーは真冬だった。
寒さと疲労で正常な判断を欠く?
後から知ったことだが、東横インは15時前の入室は別料金が発生するらしい。昔から東横インは何度も利用してきたがそんな請求はされたことがなかったので知らなかった。それにこれまで利用し他社のホテルでは、同じように別料金を請求されたことはなかったので僕らは全く知らなかった。
それに東横インだけのシステムなのかと思ったら、どうやら結構そういうホテルがあるらしい。たまたま僕らが泊まったホテルが違っただけなのだろう。これも勉強になったし、知らなかったがゆえにフロントスタッフにも怒りを覚えたのかもしれない。
まあ、あちらも何の説明もなく「当然でしょ?」という態度で何も説明せずお金だけ請求してきたのでお互いさまといえばそうだ。
しかし僕も雨の中歩いたので疲労と寒さで心に余裕がなかったのかもしれない。寒さで冷静な判断ができていなかったのかもしれない。なので、もしかしたらフロントの方もそこまで冷たくなかったのかもしれない。
と、あとで少し反省した。
翌日からは普通に対応してもらえた。
とりあえずビール!ならぬ、とりあえず風呂!
真冬のフロントで待つことトータル1時間半。ようやく15時になり部屋に入れる。
荷物もそこらへんに適当に置いて、超特急で風呂に入る。お湯が震えた体に浸みこんでいく。何度も「あ~」とため息が漏れる。「ふ~」と漏れる。じっくりつかって身体を温め疲れを癒す。
体温が戻ってくると、少しお腹が空いてきた。しかしもう16時を過ぎていた。もう少し我慢して、夕食を食べることにした。
片付けやら何やらですぐに1時間半が過ぎ、目の前の西鉄久留米駅に向かう。すぐに大衆食堂のような安くて量があるお店を発見。腹ペコのの二人は獣のようにがっついた。
腹も膨れ体温も正常に戻った。駅内のスーパーで少量を入手し部屋に戻った。
明日からはしばらくここで連泊して体制を整える。
本日の歩行データ
宿泊場所 | 東横イン薩摩川内駅東口 |
---|---|
歩行距離 | 12.60km(Garmin+Googlmap) |
歩数 | 18,818歩 |
疲労度 | 10/10 |
コメント