22日目:徒歩日本縦断4県目、福岡県に突入

熊本県と福岡県の県境の看板 歩記

日本縦断22日目(2016年6月26日)

天気は晴れ、自然からの声援、心地よいスタート

昨日、温泉(湯船)を克服した僕らは出発前にもうひとっぷろ戴いた。やはり気持ちいい。たぶんこれで温泉嫌いも結構克服できたのではないだろうか。

身支度をすませ、出発する。昨日の雨の影響でレインウェアや防水ハットがまだ濡れている。トレーラーに覆い被せて乾かしながら歩く。

今日は昨日と違っていい天気だ。美しい川や山からも声援をもらい何だか足も軽い。

徒歩日本縦断22日目、山鹿温泉の湶を出発

山鹿温泉を過ぎて見えてきた綺麗な川

山鹿温泉を過ぎて見えてきた綺麗な川と橋

温泉の効果も手伝ってか、結構今日の徒歩は順調だ。さらに天気も味方し何だか今日の旅は心地よい。気持ちがいい。

出発そうそうパンク

そんな幸せな状態も1時間20分で終了。

なんだかトレーラーが進まない。

下を見るとタイヤがパンクしていた。

チャイルドトレーラー2度目のパンク

つい先日自転車屋さんに持っていきタイヤを取り換えたばかりだ。その時はタイヤに小指のつめほどの穴が開いていたので、タイヤごと交換となった。今回は反対側のタイヤがパンクした。

僕らはパンク修理はやったこともなければつい最近まで見たことすらなかった。しかしここは街ではない。自転車屋さんなどない。いよいよ自分でパンク修理をする時がきた。これもレベルアップだと思い挑んだ。

幸い先日の自転車屋さんで修理工程を見せてもらっていたので、何となくやり方は分かっていた。

とりあえずタイヤからチューブを抜きだし、穴が開いている個所を探す。あいにく水がないので手と耳で探す。慎重に親指を滑らせながら空気が漏れている個所を探す。時にはチューブに耳を当て漏れている音を探った。

初めてチャイルドトレーラーのパンク修理中

初めてチャイルドトレーラーのパンク修理中02

一カ所穴を見つけとりあえずそこを塞ぐ。専用の紙やすりでチューブの表面を削り、専用の接着剤を塗りパッチラバーを貼る。3~5分乾かすと書いていたが、念のため10分ほど放置して乾かした。

そして再度チューブを指で慎重に触って確かめ、耳を当てて空気の漏れる音を探る。

初めてチャイルドトレーラーのパンク修理中03

よし!聞こえない。

漏れていないことを確認しタイヤにはめ込んでいった。

初のパンク修理完成

荷物の重さに偏りがあるため、修理したタイヤは比較的重さが軽い反対側にはめた
初のパンク修理完成02

しかし残念ながらこの前の自転車屋さんで購入した携帯用空気入れではあまり空気が入らなかった。とりあえず近場のガソリンスタンドを探して改めて空気を入れなおすことにした。

パンク修理の時に声をかけてくれた青年へ

また修理中に通りかかった原付の若い青年がわざわざ原付を止めて降りて駆け寄ってきた。何かできることはないかと助けを申し出てくれた。

しかし僕らは初のパンク修理でかなり焦っていて、「あ、大丈夫でーす」と笑顔であっさり返事するだけだった。あとあと反省した。大変有り難かったのにあっさりとした対応をしてしまった。申し訳ない。

青年は「頑張ってください!」と両手でガッツポーズのようなしぐさを見せ、去って行った。

歳は20前後といったころか、声をかけるのも勇気がいっただろうに。もう少し丁寧な対応をすれば良かった。

もしこのブログを見ていたら、是非お礼の気持ちを伝えたい。もし彼を知っている人がいたら伝えてほしい。

あの時の若いお兄さんへ。
あの時はどうも有難うございました。声をかけてくれただけでも助けになりました。あなたの親切心はきちんと届いています!これにめげずまた困った人を見かけたら声をかけてあげて下さい。有難うございました。

パンク修理をした場所はこちら
パンク修理をした場所

三丘小学校とかかれた看板があった
三丘小学校と書かれた看板

僕らは歩道を占拠し荷物を出して作業していた。はたから見たら困っているのは容易に分かっただろう。車通りも多く皆車内から見てはくれていたのだが、この青年以外は誰も声をかけてくれる人はいなかった。

なので彼の行為にはとても感謝している。

ピザとコーヒーでたまにはリッチなランチ

無事パンク修理も終え徒歩を再開する。途中でガソリンスタンドはいくつかあったのだが、ここは山の中だ。田舎だ。日曜にやっているガソリンスタンドはなかなか無い。車の工場や車屋さんも閉まっている。もういくつ閉まっていただろうか。

再びパンクすることを恐れながら慎重に進む。

すると目の前に雰囲気の良いカフェが現れた。前々からブログを読んでくれている方はご存じの通り、僕ら夫婦はコーヒー好きだ。決して豆の違いが分かるわけではない。旨いと思ったコーヒーがインスタントだったり、まずいと思っらドリップだったことも何度もある。でも好きなものは好きなのだ。

ここは山の中でコンビニもなければ飲食店もほぼない。そして日曜なので空いている店もほぼない。唯一ここだけだ。山に入る前に地元の方も、この先は何もないと言っていた。

僕らはとりあえずコーヒーで気分をリフレッシュすることにした。この日はかなり暑くこの先しばらくは食料を買えないかもしれないので冷たくて甘いコーヒーにした。

ロースターズカフェ 琥珀の刻(熊本県山鹿市)

ロースターズカフェ 琥珀の刻(熊本県山鹿市)02

きらきらゼリー(530円)
ロースターズカフェ 琥珀の刻のきらきらゼリーコーヒー

写真を見て「ん?」と思った方もおられるだろう。僕らにとってはこれもコーヒーだ。コーヒーがシャーベット状とゼリー状になったものが混ざっている。下は確か生クリームだった気がする。兎にも角にも旨い。それだけでいい。別にコーヒー玄人ぶるつもりもないのだ。

そしてコーヒーだけ飲んでまたすぐに歩こうと思ったが、妻の表情が冴えない。そうだ、この先はまたいつ食料を調達できるか分からないのだった。持っているのは先ほど山に入る前に買った非常用のカップラーメンのみだ。このあと炎天下の中、外でバーナーを出して鍋を出してお湯を沸かして・・・などと考えると気持ちが重い。

というわけで急きょここで食事も済ませることとした。

ちょうど僕が好きなピザがあるではないか。僕はピザは生地から作るほど好きだ。毎回生地から作るのは手間がかかり過ぎるので生地だけは買ってきて、それからは自分でやる。

名古屋の貧乏時代には近くのパン屋でタダ同然のパンの耳を大量に買ってきて、それをオーブンでカリカリに焼きそれを生地としてピザを作っていた。(カリカリに焼いておかないとソースや具材の水分で耳が溶けるのだ)

僕らはド貧乏だったがそれでもピザが食べたかったのだ。ちなみに宅配ピザは頼まない派だ。(旅の直前は忙しかったので少し利用した)

これくらいピザが好きなので久々に食べたくなった。でも、カフェのピザは経験上そこまで期待できない。期待せず注文することにした。

するとこちらのカフェはコーヒーだけでなく、ピザにも力を入れているのだろう。これまた旨いではないか!しかもデカい!

もう少しガリガリにやせ細った生地や野菜がのっかていると思ったら結構しっかりしている。噛みごたえもある。味も宅配ピザのような化学調味料どっさりという感じもない。野菜の味もしっかり感じる。

僕が心配していた“カフェにありがちなレンジでチン的な冷凍感丸出しのピザ”ではない。出てくるのも時間がかかったのでおそらくしっかり作ってくれているのだろう。

うん、旨い。

これならコスパも良いし満足だ。

思わぬご褒美に気分が良い。ここで食事をとる決断をした自分と促した奥さんに感謝。

琥珀の刻の「夏野菜ピザ」(2,090円)
琥珀の刻の夏野菜ピザ

琥珀の刻の夏野菜ピザ02

琥珀の刻の夏野菜ピザが旨い!

休憩もできお腹も満たされたので出発する。

ロースターズカフェ 琥珀の刻(外観)

ロースターズカフェ 琥珀の刻

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待っててくれた応援者

カフェを出てすぐ、JAのガソリンスタンドが開いていたのでタイヤに空気を入れてもらった。これでもうしばらくは大丈夫。一安心で足も軽い。

しばらく歩くと「またどうぞ熊本へ」という看板が見えてきた。どうやら熊本県と福岡県の県境にやってきたようだ。いよいよ徒歩日本縦断も4県目、福岡県に突入だ。

始めはひと県でも制覇するのにこんなに苦しいのかと思ったが、積み重ねるにつれてこうやって数を重ねていくことに面白みや達成感を味わう余裕がほんの少しばかり出てきたような気がする。

旅人と名乗れるようになってきたのはこの辺りからだった。

熊本県と福岡県の県境

この「またどうぞ熊本へ」の看板を過ぎてすぐに、一台の車が前方に停車しているのが見えた。どうやら中に人がいるようだ。こんな何もない所で何をしているのだろうと不思議に思った。きっと携帯で電話でもしているのだろう、そう思った瞬間中から一人の女性が降りてきた。

僕らの方へ向かってくる。

お察しの通り。

カンパだった。

僕らを2時間前に見かけ、用事を済ませて帰る途中にまた見かけたらしい。それで気にかけてわざわざ待っていて下さり、声をかけてくれたのだ。カンパだけでなく、今日の宿の心配もしてくれた。別に泊まれと言われたわけではないが、この時の心境としてはまだ他人の家に泊まる勇気が無かった。

僕は神経質なタイプで他人の家では眠れないのだ。他人がそばにいても眠れない。それもこの旅で少しでも克服できたらとは思っていたが、この時点ではまだ勇気がなかった。なので毎回ホテルを予約するか、いくつかホテルを探し目処を立ててから出発していた。今日もばっちり八女のホテルを予約済みだった。

車には旦那様と思われる方も乗っており、お二人に丁寧にお礼を言って別れた。

危険な道と自然を満喫

ところで今歩いている道は車通りが激しい。しかし人は全くおらず、運転手も僕らを見かけるとびっくりして急ハンドルで避ける。案の定、歩道も有ったり無かったりの繰り返しだ。僕らはいつも通り妻が先頭で誘導棒を振って運転手に存在をアピールする。

死亡事故お多発の道路を歩く

その後は途中で地元の子供のインタビューを受け(僕らが不思議でたまらなかったのだろう)、川の流れや山々を見ながら気持ちよく進んでいった。実際にはやる気はないが、川を見ては立ち止まり飛び込めるポイントを探した。そして魚がいないかも探した。僕は自然をみると夢中になってしまう性質だ。都会生まれ都会育ち、キャンプ経験ほぼゼロなので自然が楽しくて仕方がない。

だから自然の中を歩く時はペースが遅くなるのだ。今日がまさにそれだ。妻もいつしか一緒に魚を探している。病気が移ったらしい。夫婦で小学生だ。見た目も二人とも小柄なので遠くから見たまさに川で遊んでいる小学生だ。格好も普通の大人がするような格好ではない。

トンボも暑さで一休み
トンボも暑さで一休み

橋の上で休むトンボ
トンボも暑さで一休み02

道間違えて天然記念物に出会う

夕陽が沈みかけた頃、本日の目的地の付近までようやくたどり着いた。もうすぐ天神という都会が近いので、川も少しずつ汚れてきたので僕らの足も速くなった。

最後にゴール目前で道を間違え上らなくても良い坂を上ってしまった。

道を間違って坂を上る羽目に

少し遠回りをしたが、貴重なものを見ることができた。県指定の天然記念物の樟(くすのき)だ。

県指定天然記念物「鈍土羅のクス」

後で良く調べてみると、なかなか貴重なものだったのでここに少し詳細を記す。(※諸説あり)

日本武尊(ヤマトタケルノミコト)に敗れた熊襲の墓

古事記や日本書紀に出てくる熊襲(クマソ)という九州南部の種族がいた。熊襲はとても勇猛で大和朝廷に抵抗していたが、やがて日本武尊(やまとたけるのみこと)に討たれたらしい。その熊襲の棺がこの木の下に眠っていたのだとか。

なんと神秘的ではないか。

こう書いていると賢そうに見えるかもしれないが、僕も全く意味は分かっていないので、意味が分からない読者の方もどうかご安心あれ。あなただけではない。

他にもわかりやすい説明があったので載せておく。

「案内板によれば、熊襲(くまそ)討伐に従軍して戦没した朝廷側の将士を葬ったもので、俗に「七つ塚」と称せられるものの一つだという。クスノキは墓標として植えられたと伝えられているらしい。

 大正(1912~26)の初め、このクスノキの根元を掘ったことがあるそうだ。内部に朱の彩色を施した石棺と、ほかに土器数片が出土したという。(ただし、案内板の書きぶりでは、大正の発掘そのものも、確認されているわけではないようだ)
 ところで、名に冠せられた「鈍土羅(どんどら)」は、古い地名だと思われる。少し離れて「どんどら」バス停もある。」(引用:人里の巨木たち

県指定天然記念物「鈍土羅のクス」案内板

拍子抜けエピソード

ちなみに僕は疲れていたのでこの木をあまりじっくり見ていない。「なんか書いてあるな~」くらいで「よし、見た!」と思い足早に立ち去った。

しかし妻だけは何かを感じ取ったのかじっくり見ていた。

「先に行ってて!」

そう言って妻は木をじっくり眺め、写真も撮っていた。なのでこの写真は妻が撮ったものだ。撮ってなければこのブログにも載っていないし、僕が由縁を調べることもなかっただろう。妻に感謝だ。

しかし、妻はこの記事を僕が書くまで、この天然記念物を調べるまで、この木のことを何も知らなかったそうだ。天然記念物であることすら知らなかった。

(案内板の写真も撮っているのに?なぜ?)

ここが妻のイラッとすることろでもあり、天然なところだ。僕にとっては天然記念物は妻の方だったのかもしれない。僕指定の天然記念物だ。

なぜ写真を撮ったか聞いてみると「この~木何の木、気になる木~(歌)」の木に似ていたからだそうだ。何たることだ。「俺の感謝を返せ!」と言いたいところだが、写真があったから調べられたので感謝感謝。

疲労困憊で妻、不機嫌

その後、夕日が沈むのとほぼ同時にホテルに到着した。到着寸前でまた雨が降ってきたが、何とか少し濡れる程度で助かった。しかしもう二人とも疲労困憊(ひろうこんぱい)だ。妻にいたっては足が痛すぎて歩けないと言っている。僕と違ってあまり感情の波がない妻だが、肉体的苦痛には機嫌が悪くなる。今日は限度をかなり超えたらしい。すこぶる機嫌が悪い。痛みのあまり夕食を買いに行くのも一苦労だった。

(前置きとして僕は滅多に機嫌はとらない)機嫌を取るために妻の好きなミルクティーを買った。店を出ると妻は即開けて飲んでいた。

しかし、全く甘くなくさらに不機嫌に。作戦失敗である。(チョイスしたのは彼女の方なので不可抗力だが。)

あとはご飯の準備や片付けをいつもより率先してやるだけだった。

コンビニに行く途中で出会ったワンちゃん。
可愛いトイプードルのハナちゃん
飼い主さんいわく、お転婆らしい。確かにはしゃいで一度もきちんと写真を撮れなかった。ぎりぎりぶれてない一枚がこれ。本当はもっと可愛い子なんです!

今日の夕食もコンビニ飯
今日の夕食もコンビニで

あ~手作りで味が濃くない物が食べたい。

本日の歩行データ

宿泊場所八女グリーンホテル
歩行距離35.18km
歩数51,917歩
22日目の歩数
疲労度10/10

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