日本縦断33日目(2016年7月7日)
再びキャナルシティへ
今日は宗像まで徒歩の旅。距離にして約32km。連泊したので普段より歩いてはいないが、疲労の抜け具合は分からない。
朝はまたまた従妹が差入れを持って見送りに来てくれた。有り難い。何だか従妹といい、その両親といい、この親子にはずっと世話になりっぱなしだ。いつか恩返しせねば。
さて、今日はまず最初に行くところがある。昨日モンベルで買った商品が大きくほつれていたので、少し寄り道をしてもう一度キャナルシティ博多のモンベルにゆく。
すぐに対応してくれて無事商品も交換できた。少し旅の話をして声援を頂く。そしてここモンベルキャナルシティ博多店でも記念撮影。
今回は旅の道具をモンベルでほぼ揃えた。おかげで店員さんとも仲良くなった。
モンベル福岡天神店とキャナルシティ博多店の皆さん、応援有難うございました。購入した道具たちは大切に使わせて頂きます!
やっぱりモンベルは凄かった
実はモンベルではもう一つ購入したものがある。
これは前から欲しかったが、なかなか良い物がなかった。ちょうどモンベルで見つけたので、効果は半信半疑だったが購入した。
それはペットボトルのサーモカバーだ。
僕らは飲み物を凍らせて持ち運ぶようにしているのだが、外に出しているとすぐに溶ける。炎天下なら30分持つかどうかだろう。あとはどんどん熱せられて、お湯とまではいかないがぬるま湯くらいの温度にまでは達する。
長距離を歩きながらのぬるま湯はさすがにこたえるので、冷たさをできるだけキープできる物が欲しかったのだ。効果は半信半疑だったが、とりあえず買っていくことにした。
結論から言う。
大正解だった。
炎天下の下でもなんと5時間以上凍っていた。逆にあまりにも溶けないので、途中でサーモカバーからペットボトルを取り出して溶かしたほどだ。
しかも見た目もかっこいい。
これは今後欠かせないアイテムとなりそうだ。
頭上の巨大な物体
キャナルシティ博多を出てちょうど1時間。何だか空が喧しい。何度も何度も騒がしい。しかも聞き覚えのある音だ。たまーに聞く音だ。
空を見上げるとこんな巨大な物体がすぐ近くを飛んでいた。
近くに飛行場でもあるのだろう。かなり低空飛行だった。なので音も相当大きかった。
差入れならまだしも・・・
飛行機やその音にも慣れた頃、とつぜん中年女性が僕らの所に駆け寄ってきた。いつもならこれは差入れのパターンだが、僕はすぐに身構えた。あることに勘付いたからである。
女性は何食わぬ顔で旅のことについて質問してきた。これは純粋に興味があったのだろう。それはそうだ。こんなところで徒歩で日本縦断をしている人間に出会うとは思ってもいないのだから。しかも夫婦となると興味は一層津々といったところだろう。
そんな旅の話をしていると突然ある人物の名前を出してきた。
「○○という人が凄い」
「世界の色んな偉い人(名前は伏せる)と会っている」
などなど旅とは全く関係のない話をし始めた。
勧誘だ。
しかし僕の防御は完璧だ。始めに僕は持ち物(チラシ)、年齢、時間帯、場所、目や表情や雰囲気でこれが宗教の勧誘だろうと始めから薄々勘付いていた。
一方妻はこういうことにかなり疎い。こういう勧誘する人は嗅覚が優れている。勧誘できそうな性格の人をすぐに見抜く。僕は逆にこういう人たちを見抜く嗅覚がある。妻に焦点を絞られる前に僕が話を切り終えてその場を去ろうとした。
しかしこの女性は食い下がる。
女性:「ほらきっと旅の助けになるから!役に立つから、これ持って行って!」とあたかも差入れかのように広報用のチラシを渡そうとする。
僕:「いやもう荷物も多すぎて色々処分してるんです(実際にしている)。申し訳ないです。」と丁重に断る。
女性:「こんな紙くらい大丈夫よ。いいじゃない!ね、ほら!」と粘る。
僕:「いや、もう本当に無理です。紙切れ一枚でも無理です。ほら、もうゴミも手持ちで歩いてるくらいなので本当に無理なんです。」と断固拒んだ。
妻は相変わらずポケーッとしている。何が何だか分かっていない様子。僕はこの宗教が何であるか勘付いていた。名前を変えて活動しているのは知らなかったが、先ほど女性が出した人物の名前でピンときていた。
これは危ない!
危機感が募る。向こうで仲間も様子をうかがっている。
妻がチラシを受け取ろうとするが、目でやめるよう強く促す。それでやっと異変を察知したのか、妻は受け取らなかった。これ以上やり取りするとすぐそばで立ってみている仲間がこちらにやってきそうだ。
僕は普段の声援に応えるような優しさを一切殺し、お礼を言って強引に会話を打ち切って妻を連れ先を急いだ。妻は結構世間知らずな所があり、目を離すと危ない時がある。今回は結構危なかった。
後で、さっきのがどういった団体で過去に何があったかを伝えると驚いていた。やはり何も知らなかったようだ。どうやら活動がしづらくなって名前を変えたのだろう。
当然ながらここで宗教名は出さない。知っている人も多い大きな団体だ。
僕は過去に信頼していた人に連れられて、宗教や政治に巻き込まれそうになったことがある。断ってからはその人から連絡は来なくなった。
僕は宗教は尊重するし宗教を信じる人も尊重するが、宗教を押し付けてくる人だけは受け入れることはできない。
これもまた社会勉強となったので良しとしよう。
最後の試練は八つ当たり
その後は急に雨にはなったがそれ以外は何事もなく無事、宗像(むなかた)のホテルに到着した。しかし前日までの連泊も色々と動き回っていたので疲労が抜けていないようだ。今日は二人ともかなり疲れている。到着も20時頃とかなり遅かった。
しかし本日の旅はまだ終わっていなかった。最後の試練が待っていた。
ホテルでは団体客がチェックインのためたくさん並んでいた。一人ずつ手続きや支払いをしているので結構時間がかかる。フロントでは若い女性と中年の女性が二人で対応していた。そしてやっと僕の番がきた。中年女性の方が対応してくれた。
フロント:「いらっしゃいませ。チェックインですね。」
僕:「え?いや、違います。」
フロント「じゃ何ですか?」となぜか怒り口調だ。
客が多すぎてイライラしていたのかもしれない。こんな時に来るなと言わんばかりだ。それでも僕は冷静に続けた。
僕:「空いてる部屋があれば泊まりたいんですけど、空いてますか?」
フロント:「はい、空きはございます。」
僕:「そしたら大人二名一部屋でお願いします。部屋は一番安い部屋で大丈夫です。」
フロント:「そういうサービスは行っておりません。」と今度はより怒り口調だ。
僕:「え?これまで何度もそちらのホテル○○を二名一部屋で泊まってきましたけど?こちらはやってないんですか?」とここでもぐっと堪えて続けた。
フロント:「他は知りませんけど、うちは一人部屋に二人で泊まることはできません。」と中年女性のイライラは頂点に。
僕:「いや、大人二名一部屋で泊まれる部屋で一番安い部屋があれば、それでお願いします。それとも二名一部屋というのが無理なんですか?今日は空いてないんですか?」
僕も疲れが溜まっている。冷静でいられるのもこれが最後だった。
フロント:「ああ、はい。それは可能です。」
僕:「空いてるんですか?」
フロント:「はい、空いてますが?」
何だか中年女性は今度は喧嘩口調に変わってきた。
僕は限界だと思った。普段こういう対応をされたら「じゃあいいです。」とキレて出て行ってしまう。しかしこの辺はホテルがほとんどない。僕もかなり疲れているが、妻もそうとう疲れている。ここを逃せば途方にくれる。道中、野宿場所も探したが、妻は嫌な表情をしていた。
僕は怒りを押し殺して、もう一度お願いした。
僕:「それなら空いている部屋で二名一室、お願いします。」
この時、僕もさすがに声のトーンは下がっていた。しかし中年女性は何食わぬ顔で手続きを始める。
手続きが終わると部屋の番号を伝えられキーを渡された。
たったそれだけだった。
明日の朝食の時間、場所、チケットの有無などなど必要な情報は一切教えてくれなかった。キーと部屋番号をいわれただけだった。必要な情報を聞こうとしたが、もう中年女性の視線は次のお客へ合図を送っていた。
ここはこれまでのホテル○○グループとは違い、一階にファミレスが入っていた。通りすがりの客があそこで朝食らしいと話していたのが聞こえたので分かったが、フロントではそれも教えてくれなかった。
客が一気にきて忙しいのは分かる。イライラもするのも分からなくもない。しかしなぜ僕に当たるのだ。僕らは朝から今の今まで32km以上歩いてやっと着いたばかりだ。
まあそんなことは彼女は知らない(見た目で分かりそうだが。ゼッケンにも日本縦断と書いている。)。彼女には関係ないだろう。
しかしそうだとしても、お金を払ってまで八つ当たりされたのではたまったもんじゃない。おそらくこの辺にホテルが少ないので天狗になっていたのかもしれない。
あとあと地元の方に嫌なホテルがあってそれが○○だと言ったとたん、「あー!それ以上言うな。言わんでも分かってる。」と笑っていた。
どうやらこれが通常のようだ。イライラしていたと思ったが、どうやら通常通りのようだ。
旅は人の優しさをたくさんもらうが、理不尽なことに遭うこともたまにはある。それ以上の優しさをもらっているので、この試練もなんとか乗り越えられた。
翌朝はいつも通りフロントの前で荷造りをしていたが、清掃のおばちゃんだけが近寄ってきて声援をくれた。何だか寂しいホテルだった。
宗教の勧誘と言い、突然の雨といい、最後の八つ当たりといい、何だか今日はツいてない日だったなぁ。
本日の歩行データ
宿泊場所 | ホテル○○福岡宗像店 |
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歩行距離 | 32.59km |
歩数 | 47,763歩 |
疲労度 | 10/10 |
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