難航する宿泊所探し
日本縦断の旅で一番苦労するのが宿泊場所の確保。
今朝も早くは起きているものの、本日の宿が決まっていない。
妻もいるのでなるべく宿泊施設を利用することにしているが、宿泊施設がなかったり、かなり高かったり、満室だったりするとおのずと野宿になる。また疲労の面でも野宿より宿泊施設の方が断然良い。
そして今日がその野宿の予定。
目指すは鹿児島行きのフェリーが出る本部(もとぶ)港。本部は小さい頃から何度も来ている所なので、知らない場所で初めての野宿をするよりは抵抗がやや少なくて済む。
とりあえず1時間ほど宿を探してみるも、条件があわず断念。
予定よりもだいぶ遅い出発となったが、今日は距離も短いので気楽に旅を再開した。
これが後で後悔するはめになる。
あ!サメだ!
本部までは449号線(海沿い)を歩いた。僕は海が大好きなので、常に海を見て歩いている。
すると、浜辺のすぐそばにヒレがキラキラ見え隠れしているではないか!
そしてすぐそばでは釣り人が!!
でもテトラポットが死角となっているのか釣り人はサメに気づいていない様子。
僕は走った!
トレーラーを妻に任せ、急いで一眼レフカメラに望遠レンズを装着し走った!
声はまだ届かない距離。
とりあえず再確認しようとカメラを構える。
レンズ越しに見えたのは2枚のヒレ。
「や、や、や、やばい!早く釣り人に教えなきゃ!」
「ん?まてよ、背ビレが2枚?」
通常、尾びれと背びれが1枚ずつ見えるのはわかるが、背びれの位置で2枚見えるのだ。焦る気持ちを抑えてもう一度確認。
すると背びれの少し前から筒のような棒が・・・。そして次の瞬間ボールのようなものが海面からプカっと浮き上がってきた。
そう、シュノーケリングをしているダイバーだったのだ。。。
(画質は悪いがこれがサメと間違えたダイバーさん)
無駄なエネルギーを使ってしまった。再び歩みを進める。
トラック運転手は優しかった
皆さんトラック運転手のイメージってどうですか?
外見が怖い、運転が荒いなどそういったマイナスのイメージを持っている人も多いはず。僕もその一人。昔トラックにはねられて言い逃れされた経験もあるのでより一層強かった気がする。
しかし今回、そんなマイナスのイメージが払拭できつつある。
それは名護の449号線を歩いている時の事。
旅では道中ではなるべく目が合えば会釈や手を振るなど自分たちから挨拶をするようにしている。しかし、挨拶しても極端に無視する人や無反応な人も結構いる。というより、反応してくれる人の方が少ない。
そんな中、トラックの運転手は結構反応が良かった。いかついサングラスをかけたいかにも怖そうな男の人たちが僕たちが会釈や手を振るなり、笑顔で会釈してくれたり笑顔で手を振ってきてくれた。もちろん、トラックにありがちなクラクションでの声援もあった。
「パパーン!」の音が「頑張って!」と聞こえるのも旅の醍醐味だろう。
トラック以外の地元や観光客の車の人からはほぼ反応がなかった。まあ、まさかこんなところに日本縦断している人間がいるなんて誰も想像できないので、それを一瞬で理解して声援を送ったり挨拶を返す方が至難の業であろう。
トラックの場合は運転席が高いので乗用車なんかよりはもっと遠くから僕らを認識できていたのだろう。
どちらにしてもトラックの運転手の応援と笑顔は嬉しかった。案外みんな強面を装って中身は優しい人間が多いんだろうなと感じた。
妻のお義母さんの友人からカンパ
トラックの運転手から何度か「パパーン」の声援をもらっていたが、その中に実は僕たちのことを事前に知っていた人がいたらしい。
理由は妻のお母さんの友人の玉城さんが職場で「日本縦断している夫婦がいるから見つけたら私に連絡して」とトラックの運転手たちに事前に伝えていたらしく、そのトラックの包囲網に運良く引っかかることができたのである。
お義母さんの友人の職場は電波が悪く携帯がうまくつながらないらしい。
しかしこのトラックの運転手たちのおかげで、僕たちは無事玉城さんに会うことができた。ドリンクの差入れとカンパも頂きかなり助かった。この日も日差しが強く、しかも周辺にはお店や自販機もなく、飲み物が足りない可能性があった。キンキンに冷えたドリンクは最高の味だった。
しかしもっと嬉しかったのはドリンクでもお金でもない。彼女のさりげない行動であった。
初めてお会いしたのにも関わらず、彼女は素手で妻の汗などで汚れたおでこを何度もなでた。友人の子供ということで可愛いという思いと応援の意味なのだろう、何度もなでた。さすがに僕は汚れも匂いも酷かったので帽子越しになでてもらった。
心身ともにエネルギーを頂いて本部港へ再び歩きだす。
旅を実感する
しばらく歩いていると、ふと左側が気になり顔を向けた。見えたのは昨日まで3日間歩てき道のりが見えた。
徒歩で日本縦断はとてつもなく凄いだろうけれど、沖縄縦断もそうとう凄いことだなとこれまでの疲労が教えてくれる。
徒歩で沖縄縦断しただけでも僕たち夫婦には結構な自信がついたようで、なんだか誇らしくなり自分たちで自分たちを褒めた。
僕たち夫婦は互いに自分に自信がない部分が多い。この日本縦断徒歩の旅はそれを克服するためでもある。将来授かるであろう子供たちのためにも、自信をもって生きている親でありたいとの思いも今回の旅には詰め込んでいる。
何だこの透明度は!
僕は何度もやんばるの海には来ているが、いつ見ても海の透明度には驚かされる。
僕はよくやんばるの海を「カクテル」と表現することが多い。沖縄県外の人にやんばるの海を説明する際は「本当にカクテルのようで飲めそうなくらい青く透き通っている」と説明することが多い。
下の写真は高さ10mくらいの橋の上から撮ったもので、水深は目測で3~4mくらい。撮影時は曇り空で透明度が分かりにくいが、それでもはっきりとサンゴが写る。それくらい透き通っている。
僕は釣りも大好きだが、こうやって海を見ているのも大好きだ。社会人になると同時に沖縄を離れた僕は何度となくこの海を思い出していた。
第二の故郷、本部町に到着
前述の通り、祖父母が本部にいた僕は何度も本部には来ている。なので本部は第二の故郷である。祖父はもう20年以上前に亡くなっていないが、祖母はまだいる。住んだことは一度もないが、ここに来ると安心する。
祖母の家、祖母の顔、叔父叔母の顔、町の匂い、景色、全てが落ち着く。30年前とは様子はかなり異なっているが、今もその懐かしさは留まっている。
やんばるにはロマンがいっぱい。これはキジムナーがいてもおかしくない
僕は海も大好きだが、川も大好きだ。残念ながら沖縄には綺麗な川がほとんどない。特に那覇には全くない。いつか沖縄の川を綺麗にして琉球アユを蘇らせたいという夢もある。
だから海と川の境も大好きだ。
こんな場所は最高だ。
神秘的でロマンがあり、本当にキジムナーが遊んでそうな場所である。
(キジムナーとは沖縄の伝承されてきた樹木にいる伝説上の生物、精霊。参照:ウィキペディア)
水中では魚たちが優雅に泳いでいる。透明度も抜群で本当に心が癒される。水深は1mくらいに見えるが、魚のサイズは大きいものだと30㎝近くありそうだ。
場所の詳細は載せたいが載せないことにする。ここは僕たち夫婦だけの秘密の場所としたい。
脱線:大学時代に少しまとめた琉球アユのレポート
少し脱線したいと思う。
幼い頃、旅行でどこかの県で食べたアユの塩焼きの味が今でも忘れられない。今となっては食べるだけの目的ではなくなっている。
琉球アユについては大学時代に少しレポートをまとめた事がある。僕は与えられる課題はできない性質(かなり低品質になってしまう)なので、自分でやりたいネタを毎回探す。
この時もそうだった。
アユは綺麗な水にしか住めないのは有名な話で、川を綺麗にするには山を綺麗にしなければならないし、川が綺麗になればそこから水が流れ込む海も綺麗になる。川と海が綺麗になればアユも住める。そしてアユが蘇れば食べられるという一石四鳥、いや、子供たちの教育や大人達の癒し効果もあるので少なくとも一石六鳥になる。街も綺麗になるのでもう一鳥増えるだろう。
ちなみに琉球アユは確かある場所で生存していたはず。念のため場所は伏せる。
本日のゴール、本部港に到着
本部港に着いたら緑地と書いてある綺麗な公園があり、屋根もあるのでそこに野宿することに決めた。
とりあえず本日の最低限の目標の一つであるゴールは達成できた。
そしてもう一つの重要な目的を果たすべく動く。
明日のフェリーの金額や手続きの時刻、荷物の手続きなど詳細をフェリー会社に聞いて明日の段取りをとりあえず把握しておく。
それが終わるといよいよもう一つの重要な目的、祖母に会うために動く。
しかしここで問題発生。
後半へ続く。
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