時は選べない

時 歩記

山口は久々に連日の雨。

夏だが少し肌寒くなってきた。

そらは薄い灰色で何だか寂しげだ。

早朝、何気なしにスマホを手に取る。

今日また一人旅立ってしまった。

もう少しゆっくりしていけばいいのに。

まあ、“旅”とはそういうものだ。

のこされた側は寂しくてしかたがない。
もう少しゆっくりしていってほしかった。

君としてももっとゆっくりしたかったろう。

しかし誰もその時を選ぶことはできない。

それが“旅”というものだ。

顔を合わせたのはほんの僅かだけど、君の人柄はお姉さんを通して十分伝わってきていた。君の旅路は短かいか長いか、それは僕には分からない。そっちで君が決めればいい。でも君が歩んできた旅路は濃く輝いていたのではないか。君たち姉弟を見ているとそう感じてならない。

僕は君のためにも歩こう。

そっちでネットが繋がるかは分からないが、ブログを見て少しでも僕らの旅を味わってほしい。

僕は君のためにも担ごう。

まだザックにならスペースはある。君の思いも宗谷岬まで持っていこう。願いがあれば入れておいてくれ。

そして今日は君のために捧げよう。

気が済むまで泣けばいい。

さて、そとはまだ雨だ。

さあ、明日は晴れるだろうか。

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